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小児矯正

小児矯正(子どもの矯正治療)の重要性

小児矯正(子どもの矯正治療)の重要性

子どもの矯正治療は、単に歯並びを整えることを目的としているわけではありません。子どもの歯列の問題は、歯の原因だけではなく、顎の骨が小さかったり、上下の顎の位置のずれといった骨格的な要因も関与していることが多いです。大人の矯正治療においては、成長が終わっており、顎の大きさや位置を整えることは難しいため、小さい顎にあわせて歯を削る、あるいは抜いたりする治療方針を選択することが多くなります。子どもの成長期に顎の骨の大きさや位置を整えることができれば、将来的に歯を抜かなくても、すべての歯がきれいに並ぶ可能性があります。子どもの時期の矯正治療は、適切な装置を用いて成長をサポートすることで、顎の大きさや位置をコントロールし、将来の歯並びの土台を作ることが目的の治療となります。さらに、定期的な通院が必要になるため、むし歯の早期発見・治療や舌、口唇、粘膜の問題にも対応でき、お子さんの口腔環境をトータルで整えることができます。また、口輪筋のバランスを整えるトレーニングを取り入れることで、健全な永久歯列への移行を促し、将来のかみ合わせの不調も予防します。
矯正歯科治療は公的健康保険適用外の自費(自由)診療です。

お子さんの矯正治療のご検討中の方へ

お子さんの矯正治療のご検討中の方へ

「早く治療を始めたい」と考えるお母さん・お父さんのお気持ちはよく理解できます。しかし、歯列矯正には適切なタイミングがあり、時には待つことも重要です。不用意に早期に治療を始めてしまうと、長い期間口の中に装置が入りつづけることになり、虫歯の原因となることが多く、お子さんご本人もご家族も非常に負担が大きくなってしまいます。当院は、お子さんのお口の成長を丁寧に確認しながら、適切な治療開始のタイミングを見逃さないよう努めています。
歯科矯正治療の成果を最大限に引き出すためには、お子さん自身が歯磨きなどの口腔衛生を習慣化し、定期的に歯科医院を受診することが重要です。私たちはお子さんの歯を守るパートナーとして、お母さん・お父さんと協力しながら、お子さんの口腔健康をしっかりサポートします。

子どもの矯正のタイミング

第一期治療(子どもの矯正治療)

第一期治療は、乳歯と永久歯が混在する時期(5~12歳)に行う矯正治療です。顎の成長をコントロールし、永久歯が正しく生えるスペースを確保したり、上下の顎の位置のずれを改善することで、将来の歯並びを整える準備をします。顎の成長誘導がメインで、この時期にワイヤー矯正で歯を並べる方法をとることはあまりありません。

第二期治療(大人の矯正治療)

第二期治療は、永久歯が生え揃った後に行われる矯正治療です。第一期治療で改善が不十分だった場合、大人と同じワイヤー矯正装置を使用して、歯列を最終的に整えます。第一期治療を行ったことで、顎の大きさや位置のバランスが取れていれば、短期間で第二期矯正治療を終えることができます。(※症例によって異なります。)

子どもの矯正のメリット・デメリット

メリット

永久歯を抜かずに済む可能性が高くなる

永久歯を抜かずに治療できる可能性が高まります。顎の成長を促し、歯のはえてくるスペースを確保することで、抜歯を避ける治療を目指します。

顎骨の成長をコントロールできる

顎骨の成長をコントロールし、上下の顎のバランスを整えることで、調和の取れた顔立ちを形成します。

後から矯正治療を行なう場合でも治療期間が短くなる可能性が高い

大人の矯正治療の期間が短縮される場合があります。また、早期の治療で顎の骨のバランスが整っていれば、永久歯が生え揃った後の矯正が不要になることもあります。

デメリット

治療期間が長くなることがある

小児矯正では、まず骨の大きさや位置を整える治療が2年~2年半かかります。その後、永久歯が生え揃うまでの間、年に数回の定期観察が続きます。このため、全体の治療期間は、長い場合で10年ほどの長期にわたる場合があります。(定期観察期間中は、来院頻度は比較的少なくなります。)

治療に協力が必要

子ども矯正では、子ども自身が装置を装着する必要がある場合があります。もし、装置を外してしまう時間が長いと、治療効果が得にくくなり、治療期間が延びる原因となります。また、装置自体の違和感も多少はあります。そのため、お母さん・お父さんのサポートや励ましが重要です。

子どもの矯正治療の装置

拡大装置

顎が小さく、永久歯が生えるスペースが足りない場合に使用するのが拡大装置です。装置の中央にあるネジを定期的に回すことで、顎を徐々に広げ、歯のスペースを確保します。この装置は痛みが少なく、自然な歯並びへの移行を助けます。取り外しができるタイプとできないタイプがありますが、当院では治療効果を考え、基本的には取り外しできないタイプを選択します。取り外しが可能なタイプは、装着時間を守らないと効果が薄れ、治療期間が大きく延びることがあります。治療期間が延びてしまった場合、装置が効果的な時期を逃してしまう可能性もあります。

リンガルアーチ

歯の裏側のワイヤーに装着した細いワイヤーの力で、歯を前に押し出す装置です。反対に生えた歯を押すのに適しています。また、拡大装置使用後の後戻り防止の装置として使用したり、大人の歯が出てくる隙間を維持するために使用することもあります。

上顎前方牽引装置

下顎前突(受け口)の治療に用いる装置で、上顎を前に引っ張り成長を促すことで、かみ合わせの改善を行います。上の歯にリンガルアーチを付けて前方へ引っ張ります。大きなけん引装置を付けるのは、基本的には寝ている時や家にいる時ですので、学校に行く時や外出時などはあまり目立ちません。

バイオネーター

上顎前突(出っ歯)の治療に用いる装置で、下顎を前に成長誘導させることで、かみ合わせの改善を行います。取り外しできるタイプの装置で、寝ている時だけ使用するため、負担が少なく、普段の歯みがきもしやすいです。しかし、装着時間を守らないと効果が薄くなります。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、歯を1本ずつ正確に並べるための矯正装置で、主に永久歯に使用されます。子どもの矯正治療の場合、多少のねじれは大人の矯正治療にて行うことが多いです。あまりにも大きなねじれ等がみられる場合には、前歯に部分的に装着することがあります。

矯正歯科治療に伴う一般的なリスクと副作用

  • 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2週間で慣れてきます。
  • 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
  • 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
  • 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがって歯磨きを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
  • 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
  • ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
  • ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
  • 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
  • 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
  • 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
  • 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
  • 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
  • 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
  • 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
  • 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
  • あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
  • 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
  • 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。